今回のMLSの2試合はいずれも同じ構図となっています。ホームチームは攻撃陣が自在にチャンスを作り出す一方で、守備陣が許し続けている特定の失点パターンを、相手アウェイチームが唯一無二の得意パターンとして備えているという点です。マイアミでは、主力を欠くニューヨーク・シティの中盤に対し、20試合連続でゴールを挙げているインテル・マイアミCFの強力な前線3枚が立ち向かいます。一方でマイアミの最終ラインは、背後への一本のパスにあっさり破られ続けています。セントルイスでは、前がかりに攻めるホームの攻撃陣が再編されたバンクーバー・ホワイトキャップスの守備陣と対峙し、直近のホーム全試合で失点しているセントルイス・シティに対してバンクーバーの得意なセットプレーが襲いかかります。どちらの試合も1ゴールで決着がつくような展開には見えません。
キリ・ゴンサレス監督率いるインテル・マイアミCFは、デ・パウルがライン間でメッシやスアレスに配球することで中央を攻略して勝利を収めています。ホームでは面白いように得点を重ねており、直近10試合は全試合で2ゴール以上が生まれています。対するニューヨーク・シティはパークス、トレウィン、モラレスを欠いており、セントラルMFのオニールとペレアにはバックアップも休ませるターンオーバーの余裕もありません。またペレアは前線へのメインのパサー役も担わなければならず、攻守両面でこのボランチに過度な負担がかかっています。
もうひとつの重要な要素はマイアミの失点パターンです。サンディエゴには最終ラインの背後へ通された縦パスから2失点を喫しており、マイアミはホームで3試合連続で終盤に同点ゴールを許しています。ニューヨーク・シティの機能している攻撃ルートも、ペレアがスペースへ走るオヘダやヴォルフへ素早く送るボールであり、まったく同じ構造です。カゼミーロのセンターバック起用によってDC戦では無失点に抑えましたが、その日のDCにはストライカーがいなかったため、背後へ走る選手に対する真のテストにはまだなっていません。また両チームとも試合終盤に失点しやすい傾向があり、最後の20分間は両エンドでオープンな打ち合いになりそうです。
セントルイスでは、ダメ監督のチームがホルセとナヴァーロを経由したダイレクトな攻撃を展開し、ホームで数多くのチャンスを生み出しているため、単独でも定期的に1試合3ゴール以上を叩き出しています。その一方で、被シュート数や被コーナーキック数が多く、立ち上がりの失点やPKによる失点、さらにはリードしてからの終盤の失点など、守備の脆さも抱えています。バンクーバーはミュラー、アデクグベ、そして出場停止のブラックモンを欠いており、オープンプレーでの厚みに欠けるうえ、急造のセンターバックコンビで直近で最も強力な攻撃陣を迎え撃つことになります。
しかし、バンクーバーの得点はミュラー頼みというわけではありません。ラボルダ、ホワイト、プリソによるコーナーキックやヘディング、ララズのミドルシュート、ビルドアップのミスを見逃さないサッビの抜け目なさなど、いずれもセントルイスが失点しやすいパターンに合致しています。クバスも前節フル出場を果たして中盤に戻ってきました。もしセントルイスが先制すれば、疲労の残るバンクーバーは上位シード相手に攻めに出ざるを得ず、9月に一挙3ゴールを奪ったときのような鋭いカウンターのチャンスがセントルイスに生まれます。
どちらの試合も、アウェイチームの得意な攻撃パターンがホームチームの弱点と合致し、ホームの攻撃陣は戦力ダウンした守備陣と顔を合わせます。そのため、インテル・マイアミCF対ニューヨーク・シティ、セントルイス・シティ対バンクーバー・ホワイトキャップスの両カードともに、ゴールが多く生まれる展開(オーバー)に期待しています。