【2026 天皇杯】サンフレッチェ広島 vs いわきFC 分析プレビュー キックオフ:10月7日 18:30(韓国時間)
サンフレッチェ広島といわきFCが、10月7日18時30分から天皇杯3回戦で激突します。トーナメント表上はサンフレッチェ広島がホーム側となっていますが、試合はいわきFCのホームスタジアムであるハワイアンズスタジアムいわきで行われます。2年前の同会場・同ラウンドでの対戦では、サンフレッチェ広島が4-0で快勝しました。今回は両チームともに監督が代わっている点や、サンフレッチェ広島の守備陣の構成が勝敗を分ける大きなポイントとなりそうです。
1. 試合概要および両チームの現状
サンフレッチェ広島は9月20日時点でJ1の3位、いわきFCは10月4日時点でJ2の16位につけています。サンフレッチェ広島は直近の公式戦10試合で7勝2分け1敗と好調で、ファジアーノ岡山戦に敗れた後は3連勝を飾っています。対するいわきFCは同じく直近10試合で3勝7敗にとどまっています。9月の監督交代後では初となる2連敗を喫した状態で、J1上位チームをホームに迎える形です。
直近の公式戦10試合 成績:サンフレッチェ広島 7勝2分け1敗 / いわきFC 3勝7敗 得点・失点:サンフレッチェ広島 26得点・7失点 / いわきFC 12得点・17失点 直前試合:サンフレッチェ広島 9月29日 栃木シティFCに2-0で勝利 / いわきFC 10月4日 コンサドーレ札幌に1-2で敗戦
サンフレッチェ広島の3連勝は、それぞれ異なる形で掴み取ったものです。セレッソ大阪戦ではボックス内からのシュート数で圧倒し、6-1で大勝しました。アビスパ福岡戦では相手が9人になった後に32本のシュートを浴びせながらも1ゴールにとどまりましたが、ハーフタイムに投入された小林志紋が中央でタメを作ってパスを出し、決勝点を演出しました。雨で濡れたピッチで行われた栃木シティFC戦では、ロングボールとセカンドボールの回収を徹底して2-0で勝利しています。ガウル監督はピッチコンディションや戦況に応じて攻め方を変えつつも、前線の選手による守備への貢献や球際の競り合いを一貫して求めてきました。
いわきFCの直近の成績は、監督交代の前後で分けて見る必要があります。田村雄三前監督体制でのリーグ戦ラスト4試合では11失点を喫しましたが、9月8日に田坂和昭監督が就任してからのリーグ戦4試合では5失点に抑えています。田坂監督は従来の3-1-4-2と前線からのハイプレスを維持しつつ、選手間の距離感を微調整していく方針を示しました。ベガルタ仙台戦では前半20分までにシュート6本を放ち、相手にシュートを1本も打たせませんでした。しかしその試合ではネットを揺らせず0-2で敗れ、続くコンサドーレ札幌戦も1-2で落としています。ハイプレスからチャンスを作れる時間帯はあるものの、ここ2試合では結果に結びついていません。
過密日程の面でも両チームには差があります。サンフレッチェ広島は9月29日の試合から中7日と休養十分ですが、この試合を皮切りに10月17日までにリーグ戦とカップ戦を含めて4試合を戦うハードスケジュールに入ります。一方のいわきFCは10月4日の函館遠征を終えて中2日での連戦となり、さらに4日後にはブラウブリッツ秋田とのリーグ戦(ホーム)を控えています。田坂監督は札幌戦直後、準備期間は短くても天皇杯に向けてしっかり調整していくと語りました。両指揮官ともに先発メンバーの入れ替えを考慮せざるを得ない状況ですが、そのターンオーバーの規模によって、これまでの戦いぶりをどこまで維持できるかが変わってきそうです。
サンフレッチェ広島としては、特にディフェンスラインのやりくりが頭の痛いところです。山﨑大地が膝の手術で離脱しており、9月29日の試合では佐々木翔と塩谷司がベンチ外でした。中野就斗と荒木隼人は10月5日の日本代表戦を終えてチームに合流したばかりです。中野はその試合で先発フル出場し、荒木はベンチスタートでした。仮に中野がスタメンを外れる場合、右サイドからのビルドアップや縦パスを誰が担うかが課題になります。東俊希を3バックの一角に下げるとなれば、中盤の構成にも手を加える必要があります。ただし、佐々木と塩谷が直前の試合で不在だったからといって、今日の試合も欠場が確定しているわけではありません。
いわきFCでは、DF岩下航が太ももの負傷で離脱中です。彼が抜けてからは、3バックの一角に牛澤健と桑田大生が交代で先発を務めています。大森理生も足の負傷で離脱しており、GK加藤有輝は膝の手術を受けました。FW道脇豊はアジア競技大会決勝の翌日に行われた札幌戦で途中出場を果たしました。今節は出場できるかどうかよりも、短期間での連戦を経てどれだけの時間プレーできるかが焦点になります。
2024年の対戦では、いわきFCが前半を0-0で凌いだものの、後半62分にコーナーキックから佐々木翔にヘディングで先制点を許しました。サンフレッチェ広島は66分に鋭いショートカウンターから追加点を奪い、68分にも佐々木が再びコーナーキックを頭で合わせてネットを揺らしました。当時から両チームとも監督が交代しているため、4-0というスコアをそのまま今回の目安にするのは早計でしょう。とはいえ、サンフレッチェ広島のコーナーキックといわきFCの空中戦対応という構図が再びぶつかり合う点は、現在のスタッツを見ても十分に再現性があります。
2. マッチアップ分析
立ち上がりは、いわきFCの2トップによるハイプレスが、サンフレッチェ広島の最終ラインのパス出しをどこまで制限できるかが最初の見どころです。いわきFCは2トップが相手のDFへアプローチをかけ、中盤が背後のパスコースを遮断する3-1-4-2を敷いてきました。サンフレッチェ広島がいつもと異なる守備陣で臨む場合、ビルドアップの局面でプレッシャーを受ける場面も出てきそうです。いわきFCが高い位置でボールを引っかけてシュートまで持ち込めれば、普段は相手に決定機をほとんど与えない広島守備陣であっても、今日ばかりは展開が変わってくる可能性があります。
ただし、その前線からの守備が得点に直結するかというと、いわきFCの決定力には不安が残ります。田坂体制下のリーグ戦4試合で挙げた6ゴールは、すべて後半に生まれたものです。仙台戦では前半だけでゴール期待値1.38を叩き出しながらも無得点に終わり、札幌戦での試合全体のゴール期待値は0.64にとどまりました。いわきFCには最初のシュートが弾かれた後のこぼれ球を押し込んでゴールを奪ったシーンもあります。今日も前線で奪うだけでなく、ファーストチャンスを仕留めきれなかった際のセカンドボールの競り合いに勝てるかどうかが重要になります。もっとも、サンフレッチェ広島も球際のバトルを何より重視するチームです。
サンフレッチェ広島としては、短いパスをつないでプレッシャーをいなすか、相手のプレスが厳しければ最終ラインの背後へロングボールを蹴り込む選択肢を持っています。栃木シティFC戦でガウル監督は、ピッチ状態を考慮して後者の割り切った戦法を選択しました。今日のいわき市のキックオフ時間帯は晴れ、降水確率0%と予報されています(日本気象協会、10月7日8時発表)。天候がパスワークの妨げになる心配はありませんが、無理にショートパスにこだわる必要もありません。立ち上がりのプレスをかいくぐるのが難しければ、鮎川峻ら前線のターゲットへ当てて、中盤でセカンドボールを拾い直す形で十分に対応できます。
サンフレッチェ広島がプレッシャーを回避した後は、いわきFCのアンカー周辺のエリアが攻防の鍵を握ります。広島の3-4-2-1では、2枚のシャドーが中央やハーフスペースでボールを引き出す動きを得意としています。いわきFCの前線とインサイドハーフが前に出れば、アンカーが1人でそのスペースをカバーしなければなりません。広島がその位置で起点を作れば、いわきFCのDFが前に釣り出され、その背後を突くアタッカーへの警戒も必要になります。福岡戦の決勝ゴールも、ペナルティエリア内でボールを受けた小林が東へ落とした形から生まれました。いわきFCが中央へのパスを消してきたとしても、広島にはサイド攻撃や精度の高いロングボールという武器があります。
セットプレーの局面では、サンフレッチェ広島の強みが、いわきFCの明確な弱点と真っ向からぶつかります。ガウル監督はセットプレーの重要性を強調しており、中島洋太朗や東をプレースキッカーとして起用してきました。田坂体制のいわきFCが喫した5失点のうち、3失点はサイドからのクロスやコーナーキックを相手に頭で合わされたものでした。佐々木翔の出場可否によってターゲットとなる選手は変わるかもしれませんが、いわきFCがコーナーキックの守備で再び試練を迎えることに変わりはありません。一方でいわきFCにも、札幌戦で直接フリーキックを沈めた柴崎晃誠や永木亮太、サガン鳥栖戦で得点につながるコーナーキックを蹴った藤井海和がいます。広島の最終ラインに変更があるなら、いわきFCもセットプレーからワンチャンスを狙えるはずです。
後半は、両チームの交代カードと運動量の変化が勝敗を左右します。いわきFCは仙台戦で前半に11本のシュートを放ちながら、後半65分までに放ったシュートはわずか1本にとどまりました。札幌戦でも、後半開始から65分までの間にいわきFCがシュートを2本増やす間に、相手には8本ものシュートを浴びました。この2試合だけで原因をスタミナ切れと決めつけることはできませんが、今回は函館遠征を挟んでの過密日程です。ガウル監督が福岡戦のハーフタイムでテコ入れして攻撃を活性化させたのに対し、田坂監督はビハインドの試合では60分前後に攻撃的な選手を投入してきました。いわきFCが足の止まり始める時間帯に攻撃に出て前がかりになれば、広島がセットプレーを獲得したり、前がかりになった相手の背後を突いてカウンターを仕掛ける決定機が生まれるでしょう。
3. 最終判断および結論
いわきFCがホームの地の利を生かし、立ち上がりからのアグレッシブなプレスで再編されたサンフレッチェ広島の守備陣を脅かしにかかると見ています。しかし、そのプレスがそのまま先制点に結びつく可能性は高くないと考えます。田坂体制では前半の得点がなく、サンフレッチェ広島にはショートパスが引っかかるならロングボールでプレスを回避する柔軟さもあります。試合が後半に進むにつれて、いわきFCがここ2試合でシュート数を落としていた時間帯と、広島が選手交代でギアを上げてくる時間帯が重なります。さらにいわきFCの過密日程と空中戦での失点傾向を考慮すれば、後半にサンフレッチェ広島が主導権を握って押し切る展開が濃厚です。
予想スコアは、サンフレッチェ広島 3-1 いわきFCとします。サンフレッチェ広島が相手のハイプレスをしのぎ、2列目からの崩しやコーナーキックから得点を重ね、追いかけるいわきFCが前がかりになったところで背後のスペースを突いてダメ押しゴールを奪う展開を予想します。いわきFCにも1点を奪うチャンスは十分にあります。永木の直接フリーキックや藤井のコーナーキック、あるいは立ち上がりのプレスから高い位置で奪ったショートカウンターは、メンバーが入れ替わった広島守備陣にとって大きな脅威となるはずです。
オッズ市場では、J1とJ2というカテゴリーの差、サンフレッチェ広島の連勝街道、そしていわきFCの過密日程を材料に、広島の勝利へ大きく傾いています。勝敗の方向性自体には同調できますが、広島が主力を並べた守備陣で被シュートを抑え込んできたデータをそのまま当てはめて、いわきFCの得点力まで過小評価するのは危険です。この見立てが崩れるとすれば、いわきFCのターンオーバーがうまく機能し、後半まで強度の高いプレスを持続できた場合でしょう。いわきFCが運動量を落とさず、立ち上がりに作ったチャンスを確実に先制点へと結びつけることができれば、広島の後半優位を前提とした3-1という予想シナリオも一変することになります。