【26-27 エールディヴィジ】SCカンブール vs AZアルクマール 分析プレビュー キックオフ:10月18日 21:30(日本時間)
SCカンブールとAZアルクマールが、日本時間10月18日21時30分からレーワルデンのコイ・スタディオンでエールディヴィジ第9節を戦います。AZアルクマールは勝利すれば首位フェイエノールトとの勝点差を1に縮めることができます。一方、開幕4連敗の後に守備のやり方を変えて4戦無敗と持ち直したSCカンブールにとっては、新しいプレッシング戦術が上位陣相手にも通用するかを試す一戦となります。
1. 試合概要および両チームの現状
AZアルクマールはリーグ戦8試合で6勝1分1敗、勝点19の2位につけています。SCカンブールは2勝2分4敗、勝点8の13位です。順位の開きは大きいものの、直近の流れはシーズン全体の成績とは異なります。SCカンブールは開幕4試合で4得点16失点と全敗を喫したものの、その後の4試合では7得点3失点と2勝2分を記録しました。対するAZアルクマールは開幕5連勝の後、リーグ戦でヴィレムIIと引き分け、テルスターに1-0で勝利したものの、フェイエノールトとのアウェイゲームでは0-2で敗れました。
区分 リーグ8試合:SCカンブール 13位・勝点8 / AZアルクマール 2位・勝点19 シーズン得失点:SCカンブール 11得点・19失点 / AZアルクマール 18得点・8失点 直近の日程:SCカンブール 10月11日 リーグ戦アウェイ / AZアルクマール 10月16日 ヨーロッパリーグ ホーム
SCカンブールの変化は失点数だけで語れるものではありません。ヨハン・プラット監督は第5節から守備ラインを押し上げ、ハイプレスを強化しました。ESPN.nlが伝えたOptaのデータによると、相手のパス数をSCカンブールの守備アクション数で割ったPPDAは14.8から9.6へ低下し、相手ゴールから40m以内のオープンプレーでボールを奪還した回数は1試合平均3.8回から8回へと増加しています。同期間の1試合平均ゴール期待値(xGA)も2.3から1.6へと減少しました。ただ、実際の失点は1試合平均0.75点と期待失点よりも抑えられています。ADOデン・ハーグ戦やPECズヴォレ戦では、GKタイス・ヤンセンの好セーブが結果を支えました。また、戦術変更後に対戦した4チームがいずれもリーグ11位以下だった点も考慮する必要があります。
AZアルクマールが直近で得点力を落としている背景には、それぞれ異なる事情があります。ヴィレムII戦ではシュート22本を放ちながら1得点にとどまり、テルスター戦では枠内シュート8本のうちネットを揺らせたのは1本のみでした。引いて守る相手に対してチャンスを作りながらも決めきれなかった形です。一方、フェイエノールト戦の様相は異なりました。ボール支配率57%を記録しながら枠内シュートは2本にとどまり、センターバックからのパスを受ける中盤が相手のプレッシャーに苦しみました。サンダーランドとのアウェイゲームでも、AZアルクマールは0-1で敗れています。SCカンブールのプレスが今回重要視されるのは、AZアルクマールが最近チャンス構築に苦戦している相手の守備スタイルと重なるためです。
プラット監督はフォーメーションを4-2-3-1に変更して以降、ボールを長く保持するのではなく、高い位置で奪ってショートカウンターを仕掛けるスタイルをとっています。センターバックのビリー・ファン・ダイユルによる縦パスやフィードが攻撃の起点となり、ラフィク・エル・アルギウィとイリエス・アマシュがフィニッシュに関与します。一方、エフテルト監督率いるAZアルクマールはボールを保持しながらサイドバックまで攻撃に参加させます。今季序盤のゴー・アヘッド・イーグルス戦での5得点には、サイドバックのマテオ・チャベスやセンターバックのルイス・スハウテンの攻撃参加も絡んでいました。AZアルクマールも高い位置から素早くプレスをかけ直しますが、最近は攻撃中にボールを失ったり、ディフェンス陣のクリアミスから失点につながる場面が見られます。
先発メンバーは確定していません。SCカンブールのキャプテンであるジャマル・アモファはアキレス腱の負傷により今季絶望となっていますが、守備のやり方を変えて以降はすでに先発から外れていました。そのため直接的な影響は守備の控え層が薄くなった点にあります。FWニコラス・ビンダーは軽傷から復帰しており、スタメンに入るかが焦点です。ビンダーが最前線に入ればエル・アルギウィが2列目から攻撃を組み立て、ベンチスタートとなればプラット監督が後半に前線の構成を変えてくるでしょう。
AZアルクマールはMFケース・スミットとFWタイス・ホルンカンプが欠場します。予想スタメンではヴァルデマル・ビスコフがスミットの位置に入ると見られます。ビスコフは今季公式戦218分の出場で3アシストをマークし、テルスター戦でも決勝点につながる縦パスを通しました。ただし、厳しいプレッシャーを受けながらボールをキープして前進した実績はまだ多くありません。ホルンカンプは出場87分で2得点を挙げているスーパーサブです。彼の不在により、後半に最前線の決定力あるストライカーを投入する選択肢が狭まります。
AZアルクマールは木曜日にハポエル・ベエルシェバとのヨーロッパリーグを戦ってから中2日でのアウェイゲームとなります。SCカンブールは10月11日のPECズヴォレ戦から7日間の休養を取りました。ただし、AZアルクマールは欧州カップ戦でメンバーをローテーションしており、今回の予想スタメンに入っている両サイドバックや前線の一部は木曜日に休養を与えられています。過密日程の影響を一概に先発全員へ当てはめることはできません。また、キックオフ前後は雨と突風が予報されています。ロングパスやクロスの精度に影響を与える可能性がありますが、どちらのチームにとってより不利に働くかは見極めが難しいところです。
AZアルクマールは2012年以降、SCカンブールに負けていません。しかし両チームの最後の1部リーグでの対戦は2022-23シーズンであり、現在は監督もSCカンブールの戦い方も変わっています。過去の対戦成績よりも、現在のハイプレスとビルドアップがどうぶつかり合うかこそが展開を読み解く鍵となります。
2. マッチアップ分析
立ち上がりの焦点は、AZアルクマールのセンターバックであるヴァウター・フースとルイス・スハウテンが、中盤のペール・コープマイネルスやデイブ・クワクマンへボールを運ぶプロセスです。SCカンブールはニッキー・スーレンとイーサン・アプカク、そしてその前のエル・アルギウィでこのパスコースを寸断しにかかります。高い位置でボールを奪えれば、長いビルドアップを挟まずにアマシュやエル・アルギウィへと素早く攻撃を展開できます。AZアルクマールは直近5試合で喫した5失点のうち4失点が自陣でのロストや処理ミス絡みでした。SCカンブールが狙いとする攻撃ルートと、AZアルクマールの最近の失点パターンが合致するポイントです。
だからといって、SCカンブールがフェイエノールトと同等のプレスの効果を出せると言い切ることはできません。SCカンブールの高いプレス数値は下位4チームを相手に記録されたものであり、ADOデン・ハーグ戦では相手にゴール期待値2.10相当の決定機を許しました。PECズヴォレ戦の前半にも、相手のビッグチャンスをヤンセンがセーブして凌ぐ場面がありました。AZアルクマールの中盤がファーストプレスを突破できれば、ビスコフが縦パスを差し込み、メクス・メールディンクがディフェンスラインの背後へ抜け出す形が作れます。AZアルクマールが序盤からこのルートを突いてくれば、SCカンブールはプレスラインを下げるか、背後のスペースを常に警戒し続けなければならなくなります。
攻守が切り替われば、ファン・ダイユルもプレスの標的となります。SCカンブールにおいてファン・ダイユルはセンターバックを務めながら最も多くの前線への配球を担うキーマンです。AZアルクマールが彼の最初のパスを封じれば、SCカンブールは別の展開を探すかロングボールに頼らざるを得なくなります。SCカンブールがPECズヴォレ戦の前半35分までシュートを打てなかったように、アタッキングサードまでボールが届かない時間帯が続く可能性もあります。逆にファン・ダイユルがプレスを剥がしてサイドへ展開できれば、アマシュやファビアン・クヴァムが高く上がったAZアルクマールのサイドバックの裏を突くことができます。
ビンダーの起用タイミングは、SCカンブールの攻撃に勢いが出る時間帯を左右します。ビンダーが先発すればエル・アルギウィが2列目からペナルティエリア内に入り込みやすくなり、アマシュのクロスに合わせるターゲットも立ち上がりから確保できます。ビンダーがベンチスタートなら、プラット監督はPECズヴォレ戦のようにハーフタイムで前線のテコ入れを図るでしょう。その試合でもビンダーは途中出場から83分に決勝ゴールを決めました。AZアルクマールはホルンカンプを欠くため、後半に前線のフィニッシャーを増やすカードが減っています。それでもメールディンクとロ=ザンジェロ・ダールは先発が見込まれ、木曜日に休養あるいは途中出場だった主力も戻ってくると見られます。
先制点の後は、両チームの別の脆さが浮き彫りになります。SCカンブールは新戦術を採用したテルスター戦とADOデン・ハーグ戦で、いずれもリードしていながらPKやコーナーキックの混戦から同点ゴールを許しました。SCカンブールが先手を取った場合、AZアルクマールはチャベスとエライジャ・ダイクストラを押し上げ、ボックス内にボールを放り込んでくるでしょう。SCカンブールがプレスラインを下げた後にクロスやセットプレーをどう凌ぐかが重要になります。
AZアルクマールがリードした場合でも、そのまま決着がつくとは限りません。ヴィレムII戦では81分に中盤でボールを失った直後に同点弾を浴びました。コープマイネルスとクワクマンは木曜日に続いて先発が濃厚であり、後半もSCカンブールの執拗なプレスを受け続けることになります。SCカンブールがそこでボールを奪い取るか、あるいはビンダーを投入して前線の枚数を増やせば、追いつくルートは残されています。逆にAZアルクマールが先制後も最初のプレッシャーを落ち着いて交わせるなら、SCカンブールが前に出るにつれてメールディンクが飛び出すスペースが広がります。戦術変更後のSCカンブールはまだビハインドの状況を経験しておらず、追う展開になった際のリスク管理は未知数です。
3. 最終判断および結論
AZアルクマールがポゼッションで上回り、先制点にもやや近いと見ています。しかし、SCカンブールが高い位置で中盤のパスを寸断できれば、AZアルクマールのボール保持がそのまま決定機につながるわけではありません。SCカンブールが先にリードを奪う展開になれば、AZアルクマールはサイドからの前進とボックス内での競り合いから同点を狙えます。AZアルクマールが先制した場合でも、SCカンブールには後半のプレスと前線の交代カードを活かして追いつく力があります。
SCカンブールが現在見せているハイプレスは、AZアルクマールがボールを失って失点している危険地帯を直接突く形になります。両チームともにリードを守りきれずに追いつかれた試合があり、先制点だけで勝敗を決めつけるのは危険です。AZアルクマールは中2日で再び先発する中盤がプレッシャーに晒され、後半に投入できるストライカーのホルンカンプも不在です。これらの条件を踏まえると、どちらかが先行した後に相手が追いつく展開が有力と考えられます。
市場の評価は勝点差やSCカンブールのホームでの大量失点を根拠に、AZアルクマール優勢に大きく傾いています。しかし、SCカンブールのホーム3敗と今季19失点のうち16失点は、ハイプレスを導入する前の数字です。現在の守備力を評価する上では、その変化と対戦相手がいずれも下位だったという限界の両面を考慮する必要があります。
予想スコアはSCカンブール 1-1 AZアルクマールと見ます。AZアルクマールが先制してSCカンブールが後半に追いつくか、SCカンブールがプレスから先制点を奪った後にAZアルクマールが同点に持ち込む展開を予想します。ただし、AZアルクマールの守備陣と中盤が立ち上がりのプレスを難なくかわして先制した場合、今季初めてビハインドを背負うSCカンブールがラインを押し上げる背後を突かれ、AZアルクマールが追加点を奪うシナリオも想定されます。