【26-27 フランス リーグ・アン】リール vs ブレスト 分析プレビュー キックオフ:10月18日 03:45(日本時間)
日本時間10月18日午前3時45分、デカトロン・アレーナ=スタッド・ピエール=モーロワにて、リールとスタッド・ブレスト29がリーグ・アン第7節で対戦します。首位と勝ち点1差の2位につけるホームのリールは、チャンピオンズリーグ連戦の合間にリーグ最多得点チームをホームに迎えます。両チームが攻撃で主導権を握る時間帯と、その局面で起用できる戦力が勝敗を分ける鍵となりそうです。
1. 試合概要および両チームの現状
10月16日付のデータセンターの順位表によると、リールは6試合を終えて4勝1分け1敗、勝ち点13の2位につけています。9得点4失点で、リーグ最少失点のタイ記録を保持しています。対するスタッド・ブレスト29は2勝2分け2敗、勝ち点8の8位です。12得点はスタッド・レンヌと並んでリーグ最多ですが、9失点を喫しており、今季のリーグ戦6試合で無失点に抑えた試合は1度もありません。リールが勝利すれば首位のASモナコへのプレッシャーを維持でき、ブレストも勝てば勝ち点11で並ぶ4位から6位のグループに追いつくチャンスがあります。
今季リーグ戦6試合の戦績 順位・勝ち点:リール 2位・13 / ブレスト 8位・8 得点・失点:リール 9・4 / ブレスト 12・9 無失点試合数:リール 4 / ブレスト 0
ただし、得失点データだけで両チームの戦いぶりを一括りにはできません。リールはトゥールーズFCとのアウェー戦で枠内シュート11本を浴びながらも、ベルケ・エゼルが10本の好セーブを見せて1-0の勝利を守り切りました。一方、2-0で勝利したトロワAC戦では、ナタン・ンゴイとアレシャンドロが前線へのハイボールを確実に跳ね返し、相手の枠内シュートをわずか1本に封じ込めました。最少失点の内訳には、強固な守備組織で封じた試合とGKのセーブ連発に助けられた試合の両方が含まれています。
ブレストの12得点のうち5得点は前節のアンジェSCO戦で奪ったものです。この試合ではセットプレー、高い位置でのボール奪取、連携を活かした崩しから得点を重ね、5ゴールすべて相手の退場前に決めました。その一方で、AJオセールとのアウェー戦では前半にリードしながらも、後半に相手のプレス強度が高まると攻撃を継続できず1-2で逆転負けを喫しています。アンジェSCO戦を除いたリーグ戦5試合での得点は7点にとどまります。リーグ最多得点は確かな強みですが、アンジェSCO戦で見せた爆発的な得点力が毎試合期待できるとは言えません。
日程面ではアウェーのブレストに分があります。リールは韓国時間10月14日のアーセナルとのアウェー戦で0-3と敗れてから中3日での試合となり、現地10月21日にはガラタサライとのチャンピオンズリーグを控えています。対するブレストはアンジェSCOに5-1で快勝した後、丸1週間の休養を取りました。エリック・ロワ監督の後を継いだラシュエール監督は、リールの過密日程を念頭に、よりオープンな試合展開に持ち込みたい意向を示しています。ただ、その発言だけでブレストが試合を通じてハイプレスを維持し続けると判断するのは早計でしょう。
リールのダヴィデ・アンチェロッティ監督は、ミドルブロックからローブロックを組んで連動して守る戦術を優先してきました。相手が前がかりになればオリヴィエ・ジルーへシンプルにロングボールを入れ、ジルーが収めたボールをハコン・アルナル・ハラルドソンやサイドアタッカーが拾います。パリ・サンジェルマン戦では、ジルーのポストプレーからハラルドソンが裏へ抜け出して先制ゴールを奪いました。逆にOGCニースが低い位置でブロックを固めた前半は、決定機の創出に苦しんだことを監督自身も認めています。ブレストがラインを押し上げれば、リールの直線的なカウンターに広大なスペースを与えることになります。
今日のリールはその攻撃を支えてきたティアゴ・サントスと上田綺世を欠いて臨みます。右サイドのティアゴ・サントスはディラン・バクワの大外を鋭く駆け上がって攻撃に厚みを加え、上田はジルーと前線のプレータイムを分け合ってきました。この2人で今季リールが挙げたリーグ戦9ゴールのうち4ゴールを記録しています。サントスの位置には本職がセンターバックである18歳のマキシマ・ゴフィが、最前線にはジルーが入ると予想されます。怪我から復帰したエタン・ムバッペはメンバー入り可能ですが、数週間の離脱明けであるため後半からの途中出場が濃厚です。
一方のブレストも、センターバックのブレンダン・シャルドネとラファエル・ル・ゲンが不在です。もっともシャルドネは今季まだ出場機会がなく、前節アンジェSCO戦では本職ミッドフィールダーのリュカ・トゥザールとゴーティエ・ロリスがセンターバックのコンビを組んで5-1の快勝を収めました。しかし、この急造コンビがジルーを相手にするのは全く別の試練となります。昨季の直接対決2試合は3-3と1-1の引き分けに終わっていますが、当時は両チームとも監督が異なっていました。過去の結果よりも、ジルーを起点としたリールの前進や、カモリ・ドゥンビアのペナルティエリア内への侵入など、現在も出場可能な主力を軸とした攻防こそが今回の鍵を握ります。なお、キックオフ前後の時間帯は雨の心配が少なく、風も穏やかとの予報が出ています。
2. マッチアップ分析
リールの右サイドではバクワとブレストの左サイドバックであるブラッドリー・ロコがマッチアップします。サントスが出場していた時は、バクワが相手マーカーを引き連れることで外側のサントスがフリーで抜け出す形が機能していました。トロワAC戦の先制点も、バクワが相手DF2人を引きつけて出したパスをサントスが仕留めた形でした。ゴフィがそこまで攻撃的に上がれない場合、バクワへの攻撃の負担は重くなります。ロコが守備に張り付く必要が薄れれば、パリ・サンジェルマン戦でドゥンビアのヘディングシュートをお膳立てした左足の正確なクロスを、より積極的に供給できるようになります。
かといって、ブレストがサイドバックを果敢に上げ続ける展開が必ずしも有利に働くとは限りません。ラシュエール監督の狙い通りに前線の枚数を増やせば、リールにボールを奪われた際、その背後のスペースを突かれるリスクが生じます。バクワがロコとの勝負を仕掛けて突破するか、ジルーが中央でロングパスを収めてハラルドソンへ展開できれば、ブレストの最終ラインは一気に後走りを強いられます。リールは前傾姿勢をとったパリ・サンジェルマンに対し、ジルーとハラルドソンの連携からネットを揺らした成功体験を持っています。ロコの攻撃参加の頻度は、ブレストのチャンスだけでなくリールのカウンターの脅威にも直結します。
中央では、ジルーがトゥザールとロリスを相手にどれだけボールをキープできるかが焦点です。ロリスは空中戦の強さに定評があります。一方、中盤からコンバートされたトゥザールは、アンジェSCO戦で好カバーリングを見せた場面があった反面、失点シーンではマークへの対応の遅れも指摘されました。ジルーがトゥザール側で起点を作れれば、ハラルドソンがセンターバックとサイドバックの間へ走り込むスペースが生まれます。逆にトゥザールとロリスがジルーへのくさびのパスをことごとく跳ね返せば、リールは効果的に前進できません。ジルーはル・アーヴルAC戦に先発した際、ボールタッチわずか14回、シュート0本のまま56分で途中交代を余儀なくされました。
ブレストがリールのビルドアップを前から圧迫する場合、ナビル・ベンタレブへ入る最初の縦パスも重要なポイントです。トゥールーズFCはベンタレブをタイトにマークしてボールを奪いシュートに繋げ、トロワACも試合途中に彼への監視を強める修正を行いました。ブレストのパテ・ムボウプは前節アンジェSCO戦で高い位置からボールを奪取し、得点の起点となる攻撃を演出しています。今回もベンタレブを経由するパスコースを寸断できれば、ブレストは敵陣の高い位置で決定機を迎えられるはずです。逆にリールがプレスを外してジルーへ繋げれば、前に出たブレストの守備陣の背後でハラルドソンやバクワが広大なスペースを突くことができます。
セットプレーでは、両チームともに相手ゴールを脅かす確かな武器を持っています。ブレストはアンジェSCO戦で、一度クリアされたCKのこぼれ球からのクロスをルドヴィク・アジョルクが頭で合わせ、さらにジョリス・ショタールの正確なCKからトゥザールがヘディングでネットを揺らしました。リールはレアル・ベティス戦やパリ・サンジェルマン戦で、セットプレーのこぼれ球の対応が遅れて失点しています。ロコのクロスを跳ね返したとしても、セカンドボールがアジョルクやドゥンビアに渡れば、リール守備陣は再び後手に回ることになります。対するリールも、ガエタン・ペランのCKをアレシャンドロが頭で決めたレアル・ベティス戦のように、セットプレーからの決定力を持っています。ブレスト側も直近の試合でFKやクロス対応時に相手選手を見失う場面が散見されます。
後半に入ると、両ベンチの交代カードの事情が大きく分かれます。アンチェロッティ監督は今季、ジルーと上田を交代させながら最前線の強度とポストプレーの質を保ってきました。トゥールーズFC戦の決勝ゴールもOGCニース戦の追撃弾も、上田が投入された後に生まれています。今日ジルーをベンチに下げる場合、前線で同じようにロングボールを収められる代役が見当たりません。ムバッペは終盤に裏への飛び出しやサイドからの突破で仕掛けられますが、ジルーのタスクをそのままこなせるタイプではありません。リールがリードを奪っていたとしても、カウンターで相手を牽制できなくなれば自陣に押し込まれる時間が長くなります。
ブレストは中7日と休養十分でこの勝負の終盤戦を迎えます。ラシュエール監督は交代策で攻撃のギアを上げる采配に長けており、リールは相手のシステム変更や選手交代直後にマークやラインの距離感を乱して失点する傾向があります。アーセナル戦の後半も64分から71分までのわずか7分間で立て続けに3失点を喫しました。とはいえ、ブレストが終盤に前がかりになりすぎれば、疲労の見えるリール側にもムバッペのスピードを活かした裏への抜け出しやバクワの単独カウンターのチャンスが生まれます。どちらがどの時間帯に先制点を奪うかによって、同じ攻撃的な仕掛けが勝負手にも失点の引き金にもなり得ます。
3. 最終判断および結論
前半にリールが先制し、ブレストが後半に追いついての1-1の引き分けを予想します。ブレストが前傾姿勢になれば、ジルーがトゥザールに対して優位に立ってボールを収め、ハラルドソンやサイドアタッカーへ展開するスペースが確保できます。リールはいったんリードを奪えば、得意のブロックを構えて自陣を固める手堅いゲーム運びに移行するはずです。ただし、その守備戦術はボールをクリアした後にジルーや上田が前線で起点となってカウンターへ繋げてこそ最大の効果を発揮していました。今日は上田が不在のため、ジルー交代後の選択肢が極端に狭まります。
試合が60分を過ぎると、過密日程と選手層の影響がブレストに有利に働く可能性が高まります。アーセナル遠征から中3日でフル稼働を強いられるリールの選手たちに対し、1週間しっかり休養を取ったブレストはフレッシュな交代要員を投入して攻勢を強めることができます。ロコのクロスやアジョルクの空中戦、さらにはセットプレーの二次攻撃は、リールが虎の子のリードを守り抜こうとする時間帯において脅威となり続けます。一方で、ブレストが同点に追いついた後に逆転を狙って過度に前がかりになれば、リールのムバッペやバクワに背後のスペースを狙われるリスクもあるため、ブレストの逆転勝利というよりはドロー決着の線が最も濃厚です。
市場のオッズはリールのホームゲームである点やリーグ最少失点の実績を評価してホームチーム優勢を示しています。しかし、アーセナル戦の敗戦や上田の欠場の一報を受けてリール勝利への期待値はややトーンダウンしています。上田とのローテーションを封じられたリールは、後半のゲームマネジメントに苦しむと見ています。もっとも、このシナリオはブレストが前半に先制した場合には崩れる可能性があります。ジルーが前線でボールを収められず、ブレストがセットプレーなどから先取点を奪った場合、リールは今季苦手としている引いた相手の堅陣攻略を強いられることになり、アウェーチーム勝利の可能性が一気に跳ね上がります。